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ビジラボ25:中長期計画の立て方

3~5年後の未来予測ってしていますか?

今日は年度初めの会社が多いと思うので、
未来予測(中長期計画)について書きたいと思います。

経営者仲間と話していると、
「昔は3年~5年後が予測できたけど、今は社会の動きが早くて予測できないよね」
と、仰る方が結構いらっしゃいます。

私の感覚は逆で、むしろ世の中に、
新技術などが出たり、新しい価値観が出てきた方が、
ビジネス的には3~5年後位を予測しやすいと考えています。

確かに5年後に「(今は見た事も無い)どんな新しい技術が生まれているのか?」
というような、社会そのものの変革に関わるような技術を予想する事は難しいです。
『AIの次に来るのは○○だ!』の「○○」に当てはまるものを予想する的な事です。

で、そういった「次にブレイクするもの」は、
マスメディアや大企業、コンサルティングファームが、予想したがりますが、
中小企業が下手に手を出して、外れてしまったら会社がつぶれてしまうので、
そもそも、そのような最先端の物にチャレンジするのはやめた方が良いと考えます。

ベンチャー企業というのは、
その「最先端の○○」にチャレンジする為に旗揚げした組織で、
資金「100件投資して、1件が化ければ投資成功だね」と考える
ベンチャーキャピタル等が出資する、ハイリスクハイリターンの世界です。

一方、多くの中小企業は、
既にお客様がいて、仕入先など取引先があり、従業員がいます。
外れれば、会社がぶっ飛ぶような賭けをすべきではない・・・と私は考えます。

なので、中小企業経営者が考える「3~5年後」は、
「どんな最先端の技術やサービスが生まれているか」ではなく

「最近出始めた商品・サービスで、今後普及していきそうなものは何か?」
「そのサービスを自社に取り入れたり、商品化するにはどうしたらよいか?」
という事を考えると良いと思います。

その為には、
・行政機関がやたら使い始めたキーワードに注目する
・WEBで情報発信している人の中で市民権を得つつあるキーワードを探る
・業界紙などを見て「おっ! これ新しくて面白そうじゃん」と思うものを探す
などを意識すると良いと思います。

そういった新しいものが、少しずつ世の中に広がって、
利用者が増え始めるのに、概ね3~5年くらいかかるので、
中期的なスパンで取り入れるには、ちょうど良いリズムが出来ます。

この辺の考え方は、商品・サービスの広まり方に関する
「イノベーター理論」でネット検索をしてもらえると、
コンサルティング企業が、詳しく説明した内容が出てくると思います。

イノベーター理論をザックリ紹介すると、
商品、サービスの普及には一定のパターン(5段階)があるというもので、
 ① イノベーター(約2.5%)
 ② アーリーアダプター(約13.5%)
 ③ アーリーマジョリティー(約34%)
 ④ レイトマジョリティー(約34%)
 ⑤ ラガード(約16%)
という5タイプの購買行動の人たちへ、段階的に普及していくという理論です。

普段から世の中や業界の動向に関心を無得ている人であれば、
 ・何か最近、出始めた新サービスがあるな(①イノベーター)
 ・あの新サービス少しづつ利用者増えてるな(②アーリーアダプター)
 ・あの新サービス、かなり利用者が増えてきたな(③アーリーマジョリティー)
くらいの現場感覚で良いと思います。

で、多くの企業経営者が、非常に保守的になっていて、
③アーリーマジョリティーに浸透し始めたくらいから、自社も取り組もうとするので、
④レイトマジョリティーに移行したころに、市場参加をする事になります。

この時期になると、既に業界の勢力図がほぼ確定しているので、
「お客様の要望が増えたので、サービス提供を始めたが儲からない」という、
企業経営にとってお荷物になる事業分野が一つ増えただけ・・・になります。

「何か新しいサービスを展開する企業が出てきたぞ」と思ったら、
是非「もし、自社が取組むとしたら、どのようなサービス展開が出来るか?」を
シミュレーションしておいて、
「けっこう、世の中に浸透して来たな」というタイミングで、
市場参入する事をお勧めします。

最近、リスクを背負って最初に行う「ファーストペンギン」が話題ですが、
中小企業にそこまでの体力はないので「セカンドペンギン」になれれば十分です。
そこで、力と体力をつけて、ある程度のリスクを許容できる組織になってから、
イノベーティブな勝負を仕掛けるので、十分ではないでしょうか?

最後に具体例を一つ、
既に90%以上の人が言葉は知っていると言われる「SDGs」について、
あなたは取組んでいますか?

私の私見になってしまいますが、
・至る所でSDGsって聞くけど、具体的に取り組んでいる会社ってまだ多くないよね
・大企業が取組むものだと思っていたけど、中小も取組むところが増えてきているね
くらいの感覚があります。

これがまさに、②アーリーアダプターが終わって、
③アーリーマジョリティーに移行して来たタイミングだと
イメージすると解りやすいと思います。

実際にSDGsは、国連で2015年に採択され、
2018年後半から政府が大々的に普及・啓蒙活動に力を入れ始めて、
2024年まで6年くらいかかっています。

ちなみに、SDGsの目標期限は「2030年」なので、
取組期間の半分以上が過ぎてるじゃん・・・という状況です。

このように、物事の普及スピードは、最初がとてもゆっくりで、
アーリーマジョリティーに火がついてから一気に普及します。
そのアーリーマジョリティーを狙ってタイミングを狙って市場参入するのが
「リスクを少なく・リターンを多く」するのに効果的です。

皆さんも是非、業界の市場動向を見て、
新たな息吹(新サービスなd)に注目してみては如何でしょうか?